多くのソフトマターが示す特徴的な粘弾性は、分子鎖などの連鎖構造や、それらが作るネットワーク構造に由来する。本研究では、これらの構造のダイナミクスとそれによるレオロジーを、主に以下の系を例に調べ、統一的理解を試みる。熱平衡のみならず、流動下での構造の変形・破壊・再構成ダイナミクスと非線形レオロジーをも対象とする。 (1)絡み合い高分子、化学ゲル、環動ゲル、会合性高分子など、広い意味の高分子系。連鎖構造(化学結合で繋がった分子鎖)は永続的だが、それが作るネットワーク構造は永続的(ゲル)・一時的(その他)の両方がある。 2)平板分子が積層して作る一時的連鎖構造(カラム状構造)。熱平衡構造(液晶相など)とその流動による変化を明らかにする。 (3)当初計画に無かったものとして、多成分脂質二重膜(2 次元の連鎖構造)の変形のダイナミクスをモデル化し、実験で見いだされている現象の起源を解明する。
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