計画研究
3種の高性能高分子ゲル、(1)4腕高分子鎖からなる高分子ゲル(Tetra-PEG)、(2)ポリロタキサン、および(3)ナノコンポジットゲル、の構造とダイナミクスについて小角中性子散乱、中性子スピンエコー法、動的・静的光散乱法を用いて研究し、構造の決定と変形メカニズムの解明を行った。(1)Tetra-PEGの構造と物性4つの枝ポリマーをもつテトラポリエチレングリコール(Tetra-PEG)からなるモデル高分子網目を調製し、その構造を小角中性子散乱,および光散乱により解析したところ、従来にない均一なゲル構造が観測され、膨潤によっても不均一性の発現はみられず、調製時の濃度に依存しないこと、分子量でスケールされる膨潤構造が得られることなどの興味ある知見が得られた。また、異なる分子量から調製したゲルの散乱関数に換算則が成立し、自己相似的構造であることが確認された。(2)分子ネックレスとして知られるポリロタキサンのダイナミクスをコントラストバリエーション・中性子スピンエコー法により研究した。環状分子であるシクロデキストリンが包接されることにより、軸分子のポリエチレングリコールのダイナミクスが遅くなることを観測した。この現象を包接による軸高分子の硬化で説明することができた。(3)コントラスト変調中性子散乱法を初めて異方性散乱パターンの解析に応用し、ナノコンポジットゲルの変形機構の研究を行った。クレイおよび高分子鎖のそれぞれの部分散乱関数に加え、それらの交差項の部分散乱関数を評価した。その結果、延伸に伴って、クレイの配向、高分子の配向・延伸挙動が起こるだけでなく、クレイ表面に吸着した高分子鎖の剥離がナノコンポジットゲルの変形挙動に重要な役割をしていることが分かった。
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