研究領域 | 非平衡ソフトマター物理学の創成に関する総括研究 |
研究課題/領域番号 |
18068007
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研究機関 | お茶の水女子大学 |
研究代表者 |
今井 正幸 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (60251485)
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研究分担者 |
中谷 香織 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (50323861)
田中 肇 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (60159019)
奥村 剛 お茶の水女子大学, 理学部, 教授 (80271500)
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キーワード | ソフトマター / 生体膜 / 両親媒性分子膜とコロイド粒子複合系 / 構造化表面 / 濡れ転移 / 両親媒性分子膜と高分子複合系 / double transient network / シミュレーション |
研究概要 |
本グループは、異種なソフトマターを混合するなど系をエキゾチックな状態において、その状態で観察される特異な現象の理解とそれを用いたメソ構造の制御を目指すものである。研究は以下の4つのサブテーマに分かれて進めた。 1.脂質複合膜の非平衡ダイナミクス 生体膜においては、多種類の脂質分子が膜内で不均-メソ構造を形成する。本研究ではこのような膜内における不均一構造と生体系の機能発現の関係を明らかにする為に、不飽和脂質・飽和脂質・コレステロールからなるモデル生体膜を用いて、膜内相分離と膜変形が強く結合した系での振る舞いについて研究を進めた。 2.両親媒性分子膜とコロイド粒子の静的及び動的結合 ネマティック液晶中にコロイド粒子が分散した系において様々な興味深い現象が発見され、活発な研究がなされてきた。我々は、多粒子分散系を扱うべく流体粒子ダイナミクス法の分散媒に液晶配向場に関する秩序変数を導入した数値シミュレーション法を開発し、欠陥のトポロジーの組み換えには大きなエネルギーコストを伴うため、準安定な粒子・欠陥配置をもつ凝集状態に凍結されることを明らかにした。 3.複合表面等での濡れの非平衡ダイナミクス 表面に凸凹などの構造がある構造化表面では、元々の表面が撥水性であると、表面構造のために揆水性が飛躍的に高まることが知られている。このような表面では、水滴と表面の間に空気が挟まつたカッシー状態と表面の窪みにまで水が入り込んだベンゼル状態間の転移を接触角履歴の効果を取り入れ、状態間遷移にかかわるエネルギーランドスケープを計算した。 4.両親媒性分子膜と高分子の複合系 ひも状ミセル(WM)と両端に疎水鎖を有するテレケリックコポリマーを複合させることで、隣接するWM間がテレケリックコポリマーによりtransientに架橋されたdouble transient networkをデザインした。実験よりそのダイナミクスはWM自身の絡み合いとテレケリックコポリマーによるスライドする架橋点の緩和過程は互いに独立しており、完全なMaxwell溶液の混合系として記述できることが明らかにした。
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