研究概要 |
ポリ(2-ビニルピリジン)(P)とポリ(4-ヒドロキシスチレン)(H)との間に働く水素結合を利用して、SP二元ブロック共重合体(117K-34K, S:ホリスチレン)とHホモポリマー(8K,14K,52K)混合物が溶液中/バルク状態で示す凝集構造について調査した。参照試料としてまずPホモポリマーを用いてSP/Pブレンド物のTHFを溶媒としたキャストフィルムの構造を観察したところ、PブロックとPホモポリマーの分子量がほぼ等しい場合、Pブロック/Pホモの体積比が2.3になると均一のミクロ相分離現象ではなくてマクロ相分離構造が見られた。一方SP/H系のTHFキャストフィルムではHの分子量がPより多き場合でもP-Hはよく混ざり、H/Pの体積比が10倍を越えても均一なミクロ相分離構造を呈することが明らかとなった。SP単体ではPをシリンダーとした六方充填のシリンダー構造を示すが、Hを少量添加した場合にはTHF溶液中でP-Hコンプレックスが凝集してミクロドメインが収縮するため、混合相を球とした球状ドメイン構造となり、その後Hの添加量が増えるにつれて柱状構造→ラメラ構造→逆柱状構造へと転移する興味深い相転移現象が見られた。 また、末端にSO_3H基を特ポリスチレン(18K)と、同じく末端にNH2基を導入したポリイソプレン(15K)から溶液中で種々の混合比のイオンコンプレックスを作ったところ、広い組成範囲で周期的な交互ラメラ構造を呈することが判明した。
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