研究領域 | 非平衡ソフトマター物理学の創成に関する総括研究 |
研究課題/領域番号 |
18068008
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松下 裕秀 名古屋大学, 工学研究科, 教授 (60157302)
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研究分担者 |
高野 敦志 名古屋大学, 工学研究科, 准教授 (00236241)
川口 大輔 名古屋大学, 工学研究科, 講師 (70362267)
野呂 篤史 名古屋大学, 工学研究科, 助教 (90377896)
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キーワード | 超分子型複合高分子 / 非共有結合 / ナノ相分離構造 / 超分子イオンゲル / 水素結合 |
研究概要 |
次の2つのテーマについて、超分子型複合高分子の調製と構造形成に関する研究を推進し、研究成果を発表した。 (1) 高分子末端に導入した官能基間での多点水素結合を利用して、会合・解離制御が可能なブロック共重合体型超分子(ブロック型超分子)の構築を試みた。合成した成分ポリマーは末端に約15個のヒドロキシスチレンユニットを有するポリトリメトキシスチレン(Mn=53k)と、末端に15個のビニルピリジンユニットを有するポリアクリル酸ブチル(Mn=54k)である。上記ポリマーを重量分率1:1としてブレンド試料を調製した。この試料に対して小角X線散乱測定を行った。室温付近ではラメラ構造由来の整数次ピークを確認でき、ピリジンーフェノール間水素結合によるブロック型超分子が形成され、ラメラ状ナノ相分離構造を形成していた。昇温させていくと散乱ピークは見えなくなり、異種成分ポリマー間でのマクロ相分離を生じたが、冷却すると再びラメラ構造が出現した。一方、官能基数の少ない10点同士の系では、同じ温度範囲で常にマクロ相分離を示しており、30点の系や共有結合でつながれたブロック共重合体では昇温させてもナノ相分離構造に由来する散乱ピークが見られた。 (2) 水素結合性ブロック共重合体ブレンドから階層構造構築を目指した。重合度660のポリスチレン(S)の末端に重合度23のポリヒドロキシスチレン(H)を持つブロック共重合体SHと、重合度810のポリイソプレン(I)の末端に重合度22のポリビニルピリジン(P)を持つブロック共重合体IPを合成した。各々の試料を溶解させ、1:1で混合してキャストフィルムを調製した。THF溶液中では超分子形成が系全体に及ぶことなく一部にとどまり、ベシクルが観察された。一方、THF:トルエン=1:1の混合溶媒から得られたフィルムでは、見かけ上は単純な規則構造を呈し、系統的なモルフォロジー転移も見られた。
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