高分子共重合体のミクロ相分離の理論研究では、ジャイロイド構造とラメラ構造との境界の構造を理論解析し、数値シミュレーションで界面の時間発展を調べた。この成果は今後、3次元トモグラフィーによる実験と比較し、発展が期待できる。実験的には、ナノ構造の微界面上に局在する運動に着目し、熱力学的に安定化されるマクロな"相"の構造・安定性と、内部の微視的な運動・応答性との関係を、自在に連結・切断・制御することを目的として研究した。すなわち、微界面に局在する特定の分子の運動を、ガラス化や高分子化により凍結したり、光官能性分子を光励起して融解することで、マクロな相構造を自在に過冷却したり融解させることができる。このメカニズムにより、トポロジカルガラスや高分子安定化プルー相といった現象を理解できるが、このとき微視的な分子の運動性には全く変化が現れない点が、新しい"凍結・融解状態"の特徴である。非平衡ソフトマターとしての研究では、非平衡環境下でのべシクルの収縮ダイナミクスにおいて、ベシクルが小さくなったとき、穴が生じる待ち時間が長くなる現象を、ベシクル脂質分子と環境との化学反応キネテックスによって説明した。
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