研究領域 | 非平衡ソフトマター物理学の創成に関する総括研究 |
研究課題/領域番号 |
18068012
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
小貫 明 京都大学, 理学研究科, 教授 (90112284)
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研究分担者 |
八尾 誠 京都大学, 理学研究科, 教授 (70182293)
瀬戸 秀紀 高エネルギー加速器研究機構, 教授 (60216546)
山本 量一 京都大学, 工学研究科, 教授 (10263401)
金谷 利治 京都大学, 化学研究所, 教授 (20152788)
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キーワード | ソフトマター / 相転移 / 非平衡 / せん断 / 電荷 / ガラス / 構造形成 / 分極効果 |
研究概要 |
当グループは、電荷・極性の関与する現象及びせん断の関与する現象の理論的・実験的解明を目的とする。今年度は以下のような成果を得た。 1)選択性溶質による相分離効果について調べた。一相領域の水-油混合溶媒で水がかなり少ない場合に親水性塩を僅かに入れてみる。イオンは水和核で覆われるが、選択水和が強い場合は、これらの塩がさらに凝集しマクロなドメインまで成長することを示した。また容器内に親水性コロイドを入れるとコロイド表面に不連続的に厚い濡層が析出することも予言した。この析出効果は塩を含む場合の濡れ現象に影響を与える。(小貫) 2)水と有機溶媒の混合溶液に親水性陽イオンと疎水性陰イオンからなるテトラフェニルほう酸ナトリウムを加えることにより新しい現象が見られることを示した。例えば、臨界点から離れた温度では透明だった溶液が色づいて、温度上昇とともに青から緑、黄色、赤と変化する様子が見られた。(瀬戸) 3)独自に開発した荷電コロイド分散系のシミュレーション手法をベースとして、より現実的で複雑な状況に対応すべくシミュレーションコードの拡張を行い、これまで実現困難であった状況について流体の影響をフルに反映した数値シミュレーションを実施し、解析を行った。特にせん断流下でのコロイド分散系の動的挙動の解明について顕著な成果を得ることが出来た。(山本) 4)室温イオン液体(RTIL)や希ガス・クラスターを研究対象として、以下の成果を挙げた。 超音波吸収測定結果に基づいてRTILの粘弾性特性を議論し、静的構造解析から提唱されている極性・非極性ドメインとの関連を明らかにした。(八尾) 5)重水素化ポリスチレン薄膜と軽水素化ポリスチレン薄膜を交互に積層した薄膜を作成し、中性子反射率測定を行なうことにより、初めて高分子薄膜内部におけるガラス転移温度や熱膨張係数の分布を明らかにした。(金谷)
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