研究領域 | 非平衡ソフトマター物理学の創成に関する総括研究 |
研究課題/領域番号 |
18068015
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
木村 康之 九州大学, 大学院・理学研究院, 教授 (00225070)
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研究分担者 |
下村 武史 東京農工大学, 大学院・共生科学技術部, 准教授 (40292768)
市川 正敏 九州大学, 大学院・理学研究院, 助教 (40403919)
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キーワード | ソフトマター / 液晶コロイド / 液晶コロイド / リポソーム / 力学的性質 / 相分離 / 蛍光顕微鏡 |
研究概要 |
ソフトマター複合系にはさまざまなスケールでの階層的な構造が存在し、異種のソフトマターが接するメソスコピックスケールの界面が存在する典型的な複雑系である。我々はこのようなソフトマター界面の構造やダイナミクスに焦点をあて、その特徴的な物性研究ならびに応用を視野に入れた新たな材料開発および制御法の研究を進めている。本年度は以下の述べるような新たな知見を得ることに成功した。 [1] 光ピンセットを用いてネマチック液晶中の異なるサイズのコロイド粒子間力の直接測定およびその理論シミュレーション(A02班 福田グループと共同研究)を行なった。粒子間力が粒子の配置に依存することがLubenskyらにより理論的に予測されていたが、実験、シミュレーションともに、両配置での力の差が粒子間距離Rの-4.7乗に比例することを見いだし、理論を定量的に実証することに成功した。 [2] 生体中の細胞膜は両親媒性分子であるリン脂質が水中で会合して形成される2分子膜から形成されている。我々はそのモデル系である脂質2分子膜ベシクル(リポソーム)の力学的性質(曲げ弾性率、表面張力)を光ピンセットにより測定することを目指した。ベシクルに内包したコロイド粒子を光ピンセットで操作することでベシクルを直接伸張し、この際に得られたカー変形曲線から力学的性質を直接評価することに成功した。本実験により荷電性脂質の力学物性に与える効果を明らかにすることができた。 [3] 交流電場による多成分リポソームの変形を行い、電場強度および周波数により各種の定常的な変形が誘起されることが明らかとなった。さらに、電場に変形されたリポソームでの相分離の蛍光顕微鏡による観察に初めて成功し、変形と相分離パターンとの関係を明らかにした。
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