研究概要 |
生体系に代表されるソフトマター複合系において,メソスコピックスケールでの構造やダイナミクスを理解するためには,系を構成する個々の分子の示す物性が,メソスコピックスケールでのシステムの機能へと,いかに集約され,制御・統合されるかを理解することが必要不可欠である.近年,ナノテクノロジーの発展を支える基盤技術として,メソスコピック構造を観測可能なさまざまな方法が開発されているが,3次元構造中におけるナノスケールでの局所輸送現象をはじめとする局所ダイナミクスを3次元的かつその場観測する測定法の開発,およびこれを用いたソフトマター複合系の局所界面の構造(トポロジー)とダイナミクスとの関連性を明らかにする研究は従来ほとんど行われていない.しかし,このような研究は生命現象の本質に迫ろうとする基礎的重要性に加え,ソフトマターの自己組織化を利用したメソスコピック機能性材料の創成を行なう際の設計指針を与える点で重要性である.本研究ではこのような背景を踏まえ,(1)新しいソフトマター複合材料設計の基礎となるメソスコピック物性と局所構造との関係を明らかにし,(2)それに基づく新しいソフトマター複合材料設計とその実現を目的とする.
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