液晶は棒状の小さな分子が方向をそろえてできた集合体で、電場や磁場によって分子全体の向きを自由に変えることができる。本研究では、1個の分子の運動とそれが集合してできた液晶全体の運動に注目し、光学実験と分子動力学計算という2つの方法で、両者の関係を定量的に調べた。その結果、薄膜中のキラル液晶分子に気体分子を衝突させて個々の分子自転方向に偏りを与えると、液晶全体が一方向に回転すること、またその回転の効率は、衝突気体と液晶分子との化学構造、及び衝突気体の運動量で決まること、がわかった。これは、キラル液晶分子の運動とマクロな配向挙動の対応関係を明確に示すものである。
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