研究領域 | 窒化物光半導体のフロンティア-材料潜在能力の極限発現- |
研究課題/領域番号 |
18069003
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
藤岡 洋 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (50282570)
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研究分担者 |
太田 実雄 東京大学, 生産技術研究所, 助手 (60392924)
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キーワード | III族窒化物 / パルス励起堆積法 / 低温成長 |
研究概要 |
InN系窒化物材料のエピタキシャル成長には、(1)分解温度が低く原子の十分な表面マイグレーションが行われない、(2)化学的な反応性が高く使用できる基板が格子不整の大きなサファイアに限られる、(3)InGaN、InAlN等の混晶が熱力学的に不安定で相分離を起こすといった問題点があった。本提案では、パルス励起堆積法を用いて低温で良質な結晶成長を実現するための装置とそのプロセス技術を開発することによって上記の問題点を解決し、高品質窒化物単結晶薄膜やP型薄膜、高品質ヘテロ接合の作製を目的としている。本年度では、(1)III族窒化物との格子不整の小さいZnO基板を用いてパルスレーザー堆積法(PLD法)によるm面GaN薄膜およびm面InN薄膜のヘテロエピタキシャル成長を試みた。また、(2)量産技術として期待できるパルス電子線を用いた窒化物薄膜成長装置の開発と低温成長の検討を行った。(1)において、大気中アニール処理によってm面ZnO基板を原子レベルで平坦化した後、PLD法によるGaN薄膜の成長を行ったところ、500℃以上の成長温度ではGaNとZnOの界面に反応層が形成され結晶性の低い薄膜成長となったが、成長温度を室温にまで低減することにより界面急峻性が劇的に向上し、結晶性に優れたm面GaN薄膜のエピタキシャル成長が可能となった。同様にm面InN薄膜のエピタキシャル成長も実現できた。 (2)において、III族窒化物薄膜成長用にベースプレッシャーが10^<-10>Torr台の超高真空パルス電子線堆積(PED)装置を作製し、III族窒化物薄膜エピタキシャル成長の可能性を検討したところ、サファイア(0001)基板上へのGaN薄膜およびAlN薄膜のエピタキシャル成長が確認され、さらに、格子不整の小さいZnO基板を用いることによってGaN薄膜の低温エピタキシャル成長が可能であることを見出した。
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