研究概要 |
本研究では,バイオ光化学分野で新たに応用が期待されている波長250から300nmをターゲットとした発光・受光デバイスの開発を目指して,AlNモル分率xが0.5以上で,転位密度が10^7cm^<-3>台以下のAlGaN成長技術の開発を目的としている。今年度は、サファイア上のAlNエピタキシャル結晶上への高Al組成AlGaNを用いた電子線励起によるUV-Cの深紫外光源の開発を目的とし、高効率な深紫外発光を得るためにSi-doped AlGaN/AlGaN超格子を用いた多重量子井戸構造を作製し、発光特性を評価した。多重量子井戸構造は、減圧MOVPE法を用いて、成長圧力50Torr、成長温度1100~1270℃の条件で作製した。作製した量子井戸構造に電子線照射装置で電子線を照射して紫外線発光特性を評価した。井戸層の幅について検討したところ、1.5nmで良好なキャリア閉じこめ効果が得られ、最も強い発光を観測した。また、障壁層の幅については、キャリアの発光中心への捕獲やキャリアの発生の減少を考慮することで、最適な幅が7nmであることを明らかにした。また、多重量子井戸構造の膜厚については、薄い物ほど加速電圧が大きいときの発光強度の飽和傾向が顕著であった。このことから、電子線励起による発光では、電子の浸入深さを考慮した膜敦にすることが重要であることが明らかとなり、加速電圧8-10kVでは多重量子井戸構造の膜厚は0.6~0.8μmが最適であることが分かった。
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