研究概要 |
本年度は,InGaN系ナノ構造における(1)結晶再成長技術による多波長発光LED,(2)極性面LDの光利得測定,(3)半極性基板上量子井戸の誘導放出の基礎光物性について成果があった。具体的には,以下の通りである。 (1) 有機金属気相成長法(MOVPE)をベースとした結晶再成長技術を用いて複数の微小な結晶面(マイクロファセット)で構成された三次元的なGaNが形成し,蛍光体フリー多色発光LEDを作製した。マイクロファセットの面積比や形を制御することで,色温度として4000〜20000K程度の白色LEDを作成することに初めて成功した。 (2) 極性面上のInGaN量子井戸LDの光学利得スペクトルを400nm〜470nmにわたる広い波長範囲で実測した。さらに,この結果を量子閉じ込めシュタルク効果(QCSE)のクーロン遮蔽を考慮した計算結果と比較することで,470nmで発振するInリッチInGaN LDの光学遷移確率や光学利得がQCSEによって3割程度にまで抑制されていることを明らかとした。これらの知見から,非極性面上の結晶成長がInGaN LDの動作波長の長波長化に有利であることを実証した。 (3) 非極性面InGaN量子井戸LDの誘導放出を405〜475nmの波長範囲で観測し,その光学利得スペクトルにおいて異方性を伴った強い偏光特性を観測した。また,非極性面InGaNの光学利得を理論計算することに成功し,実験結果を説明する手法を確立した。
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