研究概要 |
本年度は、AlリッチAlGaN系構造における(1)Modified MEE法による高品質AlNエピ膜の成長、 (2)AlGaN/AlN量子井戸からの深紫外域高効率フォトルミネッセンス(PL)、(3)上記の深紫外PLの歪や量子効果依存性について成果があった。具体的には、以下の通りである。 (1)有機金属気相成長(MOVPE)において、III族原料(TMAとTMG)とV族原料(NH3)の同時供給と交互供給を周期的に繰り返すModified MEE法を開発し、サファイア基板(0001)面上に高品質AlNおよびAlリッチAlGaNを成長した。AlNエピ膜,(膜厚 : 600nm、基盤温度 : 1200度)は原子レベルで平坦な表面を持ち、X線回折半値幅は(0002)対称ωスキャンで43秒、(10-12)非対称ωスキャンで250秒と非常に狭い線幅を示した。 (2)高品質AlNエピ膜テンプレート上に高Al組成AlGaN/AlN量子井戸構造をコヒーレント成長し、220〜260nm域の深紫外域において室温PLを実現し、最高内部量子効率として約30%を実現した。 (3)AlGaN/AlN量子井戸のAl組成を91%から69%と減少させたとき、Al組成82%において、偏光方向が[0001]軸平行から垂直にスイッチすることがわかった。これは、従来予想されていた臨界Al組成60%よりも大きい。この効果は、CHバンドの正孔の質量は, HHバンドのそれに比べて著しく軽く(0.26mO vs. 3.57mO)、AlGaN井戸に加わった三角ポテンシャル(自発分極による)による量子閉じ込め効果によって、バンドの入れ替わりが生じやすくなったために生じることが明らかにされた。
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