研究概要 |
本研究は,高In組成InGaNおよび高Al組成AlGaNの輻射・非輻射再結合過程を時間・空間分解分光法によって解明し,局在中心などの発光局在中心の人為的導入やマクロ線欠陥やナノ点欠陥に起因した非発光中心を抑制するための知見を得ることを目標にしている。これまで,無極性・半極性基板や擬似格子整合基板の探索,三次元加工基板への再成長,界面制御や低温エピ成長技術などについて色々なアプローチが試みられている。そこで,申請者らが開発したマルチモード近接場光学顕微鏡技術を駆使して,上記手法によって作製された各試料のナノ空間における発光と非発光のダイナミクスを詳細に評価する。空間分解能として30nm,時間分解能として10psが可能であり,測定すべき波長域に対応した励起光源・光学素子・受光素子を整備することで,局在発光中心の量子構造や振動子強度,マクロ・ナノ欠陥の起源や密度および非輻射再結合中心の捕獲断面積に関する知見を得ることが可能となる。このことによって,最適な成長法や成長条件についてポジティブなフィードバックが加えられ,緑から赤外(0.5〜1.8μm)や紫外(0.3μm以下)の窒化物半導体における未踏の波長領域において高効率発光・受光デバイスの実現に寄与するものと期待される。
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