研究領域 | 窒化物光半導体のフロンティア-材料潜在能力の極限発現- |
研究課題/領域番号 |
18069008
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
近藤 正彦 大阪大学, 工学研究科, 教授 (90403170)
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研究分担者 |
百瀬 英毅 大阪大学, 低温センター, 助教 (80260636)
石川 史太郎 大阪大学, 工学研究科, 助教 (60456994)
森藤 正人 大阪大学, 工学研究科, 助教 (00230144)
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キーワード | GaInNAs / 半導体レーザ / 分子線エピタキシー / フォトルミネッセンス / 高品質化 / AlAs / Al混入 / 散乱 |
研究概要 |
本研究の目的は、半導体レーザへ向けた再現性に優れるGaInNAs結晶技術を確立することである。そのため、分子線エピタキシー(MBE : Molecular Beam Epitaxy)装置に組み付け可能なフォトルミネッセンス(PL : photoluminescence)評価装置を独自に開発して、GaInNAs結晶の高品質化に取り組んでいる。 具体的には、AlAs層上でのGaInNAsのMBE成長時に発生するAl混入の起因について詳細に調べている。意図しないAlの混入が発生した場合、結晶品質の劣化や、それに伴うレーザ特性の劣化が発生する。我々は、昨年度までの研究において、意図せずに発生するAlの混入が、成長室への窒素導入に起因することを解明した。実験結果を詳細に検討したところ、結晶に混入するAl濃度n_Alは、Al蒸気圧P_Alと、窒素分圧P N八に依存し、n_Al^<∝>P_Al P_Nの関係にあることがわかった。そこで本年度は、考えうるAl混入のメカニズムについて、粒子の散乱を考えたモデルによる検討を行った。モデル化にあたり、MBEのセルおよび基板の空間配位を定義し、以下の状況を仮定し、単純化したモデルを構築した。(i)AlとN_2分子が衝突する。(ii)散乱したそれら分子が、ある確率で基板に向かう。ここでは衝突の状況を簡単化するため、それぞれの分子は球状・等方的に散乱すると考える。(iii)再度分子が衝突する多重散乱の影響は考えず、単散乱場であるとする。数値計算の結果、実験で得られたn_Al^<∝>P_Al P_Nの関係を完全に再現することに成功し、その誤差もおよそ一桁以内であった。この結果は、用いたモデルの妥当性を示すものである。さらに、不純物混入の起源および抑制方法についての知見も得て、高品質結晶成長への道筋を示した。 また、高品質GaInNAsの応用先として新型フォトニック結晶半導体レーザの実現を目指し、試作と評価を行った。活性層をGaInAsとするプロトタイプレーザではあるが、室温において、共振モードの発光を導波路端から観測し、同レーザ実現の展望を得た。 来年度は、開発技術のGaInNAs長波長半導体レーザへの適用を目指す。
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