研究概要 |
昨年度は, 紫外LDの下地結晶としてのAlGaNの高品質化に取り組んだ。本年度は, 紫外デバイスの高性能化に必須のp型AlGaNの高正孔濃度化, および昨年度試作したAlN/サファイアテンプレート上の紫外LDの性能の向上に取り組んだ。GaNにおいてMgアクセプタの活性化エネルギーは, イオン化されたアクセプタ濃度が高くなると価電子帯の正孔とのクーロン相互作用により見かけ上小さくなることが報告されている。Mg濃度の増加により, 見かけ上の活性化エネルギーが減少するために, Mg濃度の増加分以上に正孔濃度が増加する。しかしながらGaN中のMg濃度が限界を超えると, 逆位相領域の形成などによって活性化エネルギーは逆に大きくなってしまう。 本研究では, AlNモル分率0.25および0.5のAlGaNについて, Mgアクセプタの活性化エネルギーのMg濃度依存性を温度変化Hall効果により評価した。その結果, GaNと同様, いずれのAINモル分率においても約4×10^<19>cm^<-3>に至るまでMg濃度の増加とともに活性化エネルギーは減少し, 室温での正孔濃度は高くなるが, それ以上のMg濃度では逆に正孔濃度が減少することが明らかとなった。 昨年度は, 溝加工AlGaN/高温成長AlN上の波長346nmのLEDにおいて外部量子効率6.7%, また波長356nmのLDを実現した。しかし, その閾値電流密度は13KA/cm^2と高力めた。今年度はその低減のため, 紫外LDに適した共振器多層反射膜コーティングにより, 反射率の制御を行った。その結果, 閾値電流密度3.9KA/cm^2まで低減できることを実証した。
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