計画研究
InN系結晶成長における固有の重点課題を解決し、InN系材料をベースとした光デバイス実現のためには、革新的な結晶成長手法の開発が求められる。本年度は、結晶成長のその場観察手法を駆使した高品質InN結晶成長手法開発を目指して新規に導入したRF-MBE装置を活用し、新しいInN結晶成長手法として、DERI(droplet elimination by radical beam irradiation)法を見出した。本成長方法は、(1)Inリッチ条件下におけるInN成長と(2)窒素ラジカルビーム照射の2つのプロセスから成るものである。RHEEDその場観察により、この一連のプロセス中のRHEED回折強度をモニターすることで、Inドロップレットの形成、除去の過程をモニタリングでき、InNのストイキオメトリを窒素ラジカルビーム照射により簡便かつ再現性よく制御できることを示した。またDERI法を繰り返すことにより厚膜InN結晶を作製した結果、結晶性、表面平坦性に優れ、良好な電気的特性(10^<18>/cm^3台前半の低キャリア濃度、1200cm^2/Vs以上の高電子移動度)を有するInNが再現性よく得られることがわかった。さらにInリッチ条件下におけるInN成長の時間(T)と窒素ラジカルビーム照射によりRHEED強度回復に要した時間(τ)との相関を調べた結果、Tは過剰なIn量と比例関係にあり、Tとτの直線比例の関係が実験的に示された。この結果を応用することで、ラジカルビーム強度を推定することができ、ラジカルビームモニタリングの有効な手段としても活用できることを示した。DERI法の利用により、再現性のある高品質厚膜InN結晶成長が可能となり、InN系結晶成長における重点課題解決に向けて画期的な進展が今後期待されよう。高品質InN結晶成長実現への他のアプローチとして、RF-MBE法を用いたInNナノコラム成長に関する検討を進めた。成長条件の最適化により、加工基板上への配列制御InNナノコラムの作製に成功し、約0.74eVでInNナノコラムからのCL発光を確認した。
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すべて 雑誌論文 (9件) (うち査読あり 9件) 学会発表 (25件)
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