紫外高効率発光ダイオード(LED)、半導体レーザ(LD)は、殺菌・浄水、医療、公害物質の高速分解処理、白色照明、高密度光記録等、幅広い分野での応用が期待されている。本研究は波長250-350nmの紫外領域の窒化物高効率LED、LDを実現することを目的とする。波長が360nmより短い紫外領域においては、高輝度紫外発光材料の欠如、ワイドバンドギャップ型窒化物の欠如、ならびに低貫通転位密度AlN基板の欠如のため、未だ高効率LED、LDは実現していない。本研究では、ワイドバンドギャップAlGaN(窒化アルミニウムガリウム)にIn(インジウム)を加え、In組成変調領域への電子局在効果、あるいは、点欠陥の低減効果により、常温紫外高効率発光、ならびに高濃度p型ドーピングを実現する。以下の項目を実現することにより、波長250-350nmの紫外領域の高効率LEDならびに半導体レーザの実現を試みる。 (1)高品質InAlGaN量子井戸を成長し高い内部量子効率を目指す。含有不純物濃度、点欠陥密度の低減を行うことで最終的には内部量子効率70%以上を目指す。 (2)p型AlGaNにInを混入することで高ホール濃度を実現する。貫通転位の低減とInの混入により点欠陥を減少させ自己補償効果を抑制することでホール濃度の改善を試みる。 (3)高品質AlN基板の作製を行う。サファイア基板上にMOCVD法を用いて厚膜AlNを体積させることにより、低転位密度AlNを実現する。 (4)垂直注入構造を導入する。ヒートシンクへのエピ面ボンディングとサファイア基板のリフトオフにより垂直電流注入構造とし効率よい素子冷却を行うことにより高効率化を行う。
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