1. 20kWマイクロ波集中照射加熱連続製銑炉を完成した。2.45GHzマグネトロン型マイクロ波発生装置8台を直径1mの球状ステンレス製アプリケーターに設置し、ヘリカルアンテナにより指向性を持たせたマイクロ波を炉中心部に集中させた。約30cm範囲でマイクロ波が集中している。ここに、マグネシア燒結板を炉床に用いた反応炉を設置した。反応炉内部はマグネシアセメントで内張りし、マグネシア炉床はシリカ管の上に置いて空気断熱した。炉壁の外周は多孔質のムライトボードで囲み、マグネシアセメントとの間にムライトファイバーを入れて断熱した。天井はムライトボード板を用いた。これにより、マイクロ波を透過させても炉の断熱壁の温度が数百度以下に抑えられ、壁自身の発熱暴走を防止できた。一方、炉床のマグネシア板は発熱して原料の加熱に有効に利用できる。また、空気断熱層により下部のレンガの加熱による発熱暴走を防止できた。原料は水冷ステンレス管により炉上部から連続投入し、排気ガスは同様な管で上部から排出した。この炉を用いてマグネタイトとグラファイトの混合粉末を毎分50g投入し、毎分30gの銑鉄を連続して生成した。 2. 120kWマイクロ波加熱日産銑鉄1トン炉を設計し、そのコンピューター・シミュレーションを行なった。それに基づき30kWクライストロンと電源を昨年に引き続き2セット購入し、チューナーとサーキュレーター、方向性結合器、導波管を1系統購入し、検討した。また、反応炉を設計し、黒鉛レンガを購入した。 3. ムライト耐火物の誘電率を1200℃までの高温で測定した。1000℃近傍以上で自己発熱による熱暴走が起きる。この時誘電率も急に大きくなることが分った。 4. 最大1.5kWマグネトロン型マイクロ波発生装置8台をステンレス製アプリケーターに設置して、出力連続可変型マイクロ波炉(12kW)を作製した。
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