計画研究
マイクロ波は、在来型の単なる代替え手段ではなく、微視的な強い非熱平衡系という物性学上の新しい領域にある。マイクロ波加熱時の微細領域の動的観察とIn-Situ解析を行い、電磁場環境下での非平衡反応場を解明する。マイクロ波の電場及び磁場が物質に結合するエネルギー経路、マイクロ波の電磁場が物質内の原子配列、欠陥構造、質量移動、電子状態等に及ぼす作用を実験的に計測した。このデータを電子論的アプローチにより解析し、マイクロ波と物質の化学結合・電子状態の相関を明らかにした。最終的に、「マイクロ波効果」のメカニズムを解明し、この基礎知見の工業応用を検討する。(1)マイクロ波加熱における電磁波の侵入現象:マイクロ波加熱においては、物質と電磁波の相互作用の理解が重要である。(2)マイクロ波電磁界エネルギーの物質への侵入経路の解明:マイクロ波の電磁エネルギーが、物質内に入り、熱を始めとしその他の影響がどのような経路で起こるのか、広い視点から議論を行った。(3)物質の高温誘電率・透磁率と損失の特性評価:マイクロ波加熱高温における物性データは乏しく、マイクロ波加熱を解析する上で、測定は重要課題と言える。(4)セラミック焼結における緻密化および電界・磁界加熱効果の解明:セラミックスのマイクロ波焼結における焼結速度促進効果、マイクロ波電場、磁場の加熱効果に関し総合的に検討した。(5)分光測定による高温反応過程の解明:分光法は、高温反応におけるIn-situ測定を可能としマイクロ波励起反応の特異性を調べる有用な手段である。(6)ナノ構造のマイクロ波による創出:周波数2.45GHzマイクロ波を照射して、磁性金属酸化物を加熱し、その組織を観察したところ、これまで発見されていなかった新しい結晶構造が形成されていることが判明した。さらに詳細な比較実験を行っている。また、照射方法、計測分析の適用に新規性が高く、関連する特許出願を準備している。
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赤外線学会誌 17
ISIJ International Journal 48
ページ: 681-684
ISIJ International Journal 47
ページ: 588-591