計画研究
マイクロ波加熱の機構は、対象となる物質の構造と状態、電界・磁界との相互作用には多様性があるが、エネルギー論から見ると、低いエネルギーで大きな構造変化を生むという非平衡・開放系の熱力学の典型的な形態であることを見いだす結果が得られた。マグネタイトが加熱還元される過程は、Fe304+マイクロ波→3FeO+0+フォノン(熱)であり、これは本質的に平衡状態である。この実験結果は、その酸素が全部外部に放出されるのではなく、一部が過剰な酸素としてマグネタイト相に残り、非平衡状を造りだすことを示している。マイクロ波励起・高温非平衡反応場におけるミクロな機構は、多様であるが、低いエネルギーのフォトンであるマイクロ波で高いエネルギーのフォノンを作り出す過程が、熱力学的に不可逆過程であることを示している。これは、熱力学第2法則「低温から高温にエネルギーを移動させるには、系にストレスを残す」を、ナノレベルで実証した世界で最初の実験結果である。高真空状態でマイクロ波還元を行い、放出酸素量を測定する実験を開始した。アレニウスプロットと対比させると、酸素の放出に大きな幅がある。これは被照射体の過剰酸素の受容度が非平衡という不安定ないし準安定状態であることと関連していると推定できる。21年度からは、公募研究により、300ギガヘルツまでの加熱実験が可能になり、また、NMRによりマイクロ波印加中の分子内の状態が測定できるようになる。単純な高周波の交換電(磁)場であるので、非平衡系で構造が遷移するルールを非平衡系で見つけだす。生命現象を律している速度がナノ〜ピコ秒の間で、これはギガからテラの周波数領域に対応する。クラスター、コロイド、タンパク質、ナノなど、低温の現象にも適用できるとして、各班の運営を進める。
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