研究領域 | マイクロ波高温非平衡加熱の研究総括 |
研究課題/領域番号 |
18070005
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研究機関 | 核融合科学研究所 |
研究代表者 |
田中 基彦 核融合科学研究所, 連携研究推進センター, 准教授 (80167501)
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研究分担者 |
河野 裕彦 東北大学, 大学院・理学研究科, 教授 (70178226)
佐藤 学 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教 (40226006)
丸山 耕司 理化学研究所, デジタルマテリアル研究チーム, 研究員 (00425646)
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キーワード | マイクロ波 / 磁性物質 / ハイゼンベルクモデル / 低エネルギー光子 / 金属粉体 / 電磁波解析 / 第一原理分子動力学 / マグネタイト |
研究概要 |
(1)粉体中へのマイクロ波の浸透過程の、有限要素法コードによる電磁波解析、(2)物質によるマイクロ波吸収過程について、分子動力学および古典スピンモデルによる研究を行った。主要な研究成果(1)について:電磁波は金属表面で反射され内部へ浸透しないが、金属粉体では粒子間空間の存在により、マイクロ波が内部へ1cmのオーダーで浸透できることを示した。金属はマイクロ波の磁気成分により、誘電体は電場成分により加熱される。この加熱効率がもっとも良いのは粒子半径が表皮長の2.5倍のときであり、銅球の場合これは3μm程度である。これらの結果は単体球粒子の場合についてMie理論と比較して非常によい一致を見た。研究成果(2)について:磁性をもつ金属粉体がマイクロ波の磁気成分を高い効率で吸収して加熱される現象(ペンシルバニア州立大学、核融合科学研究所)の機構は謎であった。この問題を、物質の磁性を古典電子スピンの集合として表すハイゼンベルグモデルにより研究した。このモデル計算では、物質の結晶形と交換相互作用係数を基に計算を行う。はじめに、強い磁性をもつ鉄酸化物(マグネタイト)について、フェリ磁性の温度依存性が再現できることを確認した。その上で、マイクロ波磁場を印加したときに生じるエネルギー差(加熱率につながる量)の温度依存性を求め、加熱率が温度とともに増加しキュリー温度でゼロとならず常磁性の領域まで続くことを示した。また、鉄酸化物であるが磁性をもたないヘマタイトがマイクロ波のエネルギーをあまり吸収しないことを示した。これらの結果は、強磁性体がマイクロ波の磁気エネルギーを選択的に吸収するという、上に挙げた実験事実をよく説明している。
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