研究概要 |
素粒子の標準理論は,強・弱・電磁相互作用の3つを統一的に記述することに成功したが,質量とフレーバー混合の起源は未解明のままである。標準理論に代わるものとして有力な超対称理論においてもこの事情は変わらず,標準理論にはないフレーバー混合の新しい原因を含むためむしろ複雑になっている。また高次元理論においては,フレーバーの理解がモデルの構築に対するひとつの手がかりとなっている。このような状況下でフレーバー混合の理解を進めるには,実験からの新しいデータは貴重である。フレーバー混合の基礎定数を精度良く測定することとともに,標準理論の枠内では理解できない現象を探求することにより,超対称理論等に対して高エネルギーフロンティアの実験からは得られない,質量の非対角成分についての情報を得ることができる。 本研究は,本特定領域計画研究の唯一の理論的研究であり,超対称理論などにおいて予測されるフレーバー混合現象を解析し,実験に対する指針を提供すること,及び実験から得られたデータの分析によって,新しい物理への手がかりを探っていくことを目的とする。これにより,素粒子の世代構造の理解が深まることが期待される。
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