研究分担者 |
受川 史彦 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 教授 (10312795)
原 和彦 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (20218613)
丸山 和純 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (80375401)
武内 勇司 筑波大学, 大学院数理物質科学研究科, 講師 (00375403)
近藤 都登 早稲田大学, 特命教授 (60011524)
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研究概要 |
本計画研究「陽子反陽子衝突実験CDFによるトップとボトム・フレーバーの物理」では,米国フェルミ国立加速器研究所の陽子反陽子衝突型加速器テバトロン衝突器を用いた世界最高エネルギー陽子反陽子衝突実験(CDF実験)のデータ収集と物理解析を強力に推進してきた。平成18年に電子冷却リングの新設などの加速器増強により,瞬間輝度をさらに増強し2.9x10^<32>cm^<-2>s^<-1>を達成した。これにより,平成18年度末までに積分輝度2.2fb^<-1>に相当する衝突事象データを取得した。またデータ収集システム,特にトリガーシステムとデータ記録システムの改良を平成18年度に終えて,テバトロン加速器の輝度増加に対応できる高速データ収集システムを設置した。これと平行して事象再構成プログラムの改良を遂行し,データの解析を進めた。物理データは本研究費で購入した磁気ディスクに保存した。解析プログラム開発,シミュレーション,物理の検討は現有の筑波大学の計算機と新たに購入予定の計算機PCを用いて行なった。この衝突事象の解析によって,本研究のテーマであるトップクォーク生成崩壊の精密測定,Bハドロン生成崩壊の精密測定について,下記に示すような成果を挙げた。 ボトム・フレーバーについては,平成18年春にB_s中間子の粒子反粒子振動の初観測に成功した。その後,解析方法の改良によって測定精度を上げることに成功し,平成18年秋にB_s中間子振動をさらに高精度で測定した結果を発表した。その結果として,B_s中間子振動の角振動数Δm_s=17.77±0.10(統計誤差)±0.07(系統誤差)ps^<-1>を得た。また、この測定によって,小林益川混合行列のV_<td>/V^<ts>成分を|V_<td>/V_<ts>|=0.2060±0.0007(実験)+0.0081/-0.0060(理論)と決定した。これはこれまでの3倍の精度で小林益川理論の正しさを検証するものであった。 トップ・フレーバーについては,単一トップクォーク生成の探索を行った結果,その生成断面積の上限値として95%信頼度で2.8pbを得た。これは標準理論の予言値2.86±0.31pbと矛盾しない結果であった。
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