2010年度もニュートリノの照射を継続し、2008、2009年度とあわせて約9000反応を原子核乾板標的中に蓄積した。並行して2008年度、2009年度の総計約4500反応の解析・タウニュートリノ反応探索を行い、最初の約1000反応中に1例のタウニュートリノ反応を検出した。 検出したタウニュートリノ反応は、発生したτ粒子がτ→ρυに崩壊し、ρがππ^oに崩壊、π^oが2γに崩壊したと考えてよいものであった。この反応のハックグラウンドはυμの中性カレント反応で発生したπ粒子が鉛中で二次反応を起こしたものが一番多いが、その期待値の合計は0.018±0.007反応であり、統計的な優位性は2.36σとなっている。これまでにほぼ期待される数のチャーム粒子崩壊例も蓄積しており、今後統計をあげてタウニュートリノの検出を確実なものとしてゆく。
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