研究領域 | 広視野深宇宙探査によるダークエネルギーの研究 |
研究課題/領域番号 |
18072001
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
二間瀬 敏史 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (20209141)
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研究分担者 |
千葉 柾司 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (50217246)
高田 昌広 東北大学, 大学院理学研究科, 助手 (40374889)
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キーワード | 観測的宇宙論 / 重力レンズ / 暗黒エネルギー / 宇宙の構造形成 |
研究概要 |
本研究では、本領域が開発する広視野カメラで実現可能な大規模深宇宙サーベイを念頭に、重力レンズ効果に基づいた宇宙の質量地図の作成とそのための理論的方法の開発を目的とする。本年度の成果は主に以下のとおりである。 1.弱重力レンズ効果を測定するのに通常用いられる方法は、銀河像形状の四重極成分を精密に測定し、多数の銀河像の統計平均を取ることにより、重力レンズの潮汐力が引き起こす成分を引き出すというものである。我々は、さらに銀河像の高次の八重極成分の測定から、重力レンズ効果の小スケールの情報を引き出す新しい方法論を構築した。シミレーションを用いることで、例えば重力レンズ効果の測定により、銀河団の質量分布の復元がより正確かつ詳細に可能になることを示した。 2.一般の暗黒エネルギーの性質として、そのエネルギー密度が時間進化するということのみならず、空間的な揺らぎ成分を持つことが予想される。これらの2つの情報は相補的であり、両者の観測的制限によって、詳しい暗黒エネルギーの性質に迫ることができると考えられている。我々はすばる望遠鏡による大規模銀河サーベイを念頭に置き、銀河分布のクラスタリング測定から暗黒エネルギーの空間的揺らぎ成分を抽出する観測可能性について詳しく調べた。この結果によって、ある種の暗黒エネルギーモデルに対して、銀河サーベイが厳しい制限を与えることができることを初めて指摘した。 3.近年の地上実験の進展によりニュートリノが質量を持つことが明らかになっている。ビックバン熱史の名残であるニュートリノは、質量をもつ帰結として、宇宙の構造形成の赤方偏移進化に特徴的な影響を及ぼす。すばる望遠鏡で計画されている大規模銀河サーベイから銀河のクラスタリング統計を精密に測定することで、ニュートリノの質量を測定できることを指摘した。
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