計画研究
本研究では、本領域の分野において開発するすばる耀遠鏡用の次世代広視野カメラHSCで実現可能な大規模深宇宙サーベイを念頭に、重力レンズ効果に基づいた宇宙の質量地図の作成とそのための理論的方法の開発を目的とする。さらに広視野カメラHSCを用いた近傍銀河古成分のサーベイ計画についても検討を行う。本年度の成果は以下のとおりになる。1.弱重力レンズ効果を測定するのに通常用いられる方法は、銀河像形状の四重極成分を精密に測定し、多数の銀河像の統計平均を取ることにより、重力レンズの潮汐力が引き起こす成分を引き出すというものである。我々は、さらに銀河像の高次の八重極成分の測定から、重力レンズ効果の小スケールの情報を引き出す新しい方法論を確立し、実際の銀河団A370に適用して中心部の暗黒物質の微細構造を得た。2.現実的な宇宙の構造形成過程を考慮し、この詳細な理論に基づいて重力レンズ擬似マップを作成し、重力レンズ効果と銀河の測光的赤方偏移の情報を組み合わせ、暗黒物質の擬3次元空間分布(赤方偏移+天球上の2次元位置)を復元する方法を開発した。3.広視野カメラHSCを用い、アンドロメダ銀河のハロー星の空間分布を導出するために必要とされる方法論、特にどのようなデザインの狭帯域フィルターとその他の広帯域フィルターとを組み合わせればいいのか、狭帯域フィルターの波長域をどのようにすればいいのか、といった点を検討し、実際のフィルター作成の設計を行った。
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Astrophysical Journal
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Classical and Quantum Gravity
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