これまで、本研究で、超広視野CCDカメラHyper Suprime Cam (HSC)用の小型読みだしモジュールなどの要素技術を開発してきたが、本年度はこれらの開発した要素技術を集約しプロトタイプ・システムを組み上げテストを行った。開発したシステムは疑似回路によるCCDからデータを読み出し、そのデータをPCへ転送する。CCDを読み出すためには、その制御回路、大規模データを一時的に蓄積するメモリ制御、高速ネットワーク制御が必要である。通常これらの回路を実装すると回路規模が大きくなるが実験用に最適化し開発することで1チップに搭載することができた。高品質画像を得るためには読み出す雑音が小さい必要がある。テストシステムを使用して雑音、データ読み出し性能などを測定した。その結果、試作システムはHSC要求を十分に満たすデータ転送速度、雑音特性を満たしている事を確認した。また、広視野にわたる収差を補正するための補正光学レンズ系の設計を完了し、大口径レンズの製作を開始した。また、オンラインおよびオフライン解析プログラムの開発を開始した。 さらに、昨年同様、プリンストン大学をはじめとする国外機関との国際協力を推進し、重力レンズの解析プログラムの開発やサーベイ計画の検討を進めた。平成21年3月に研究会を開催し領域全体の進捗を確認した。
|