計画研究
含硫アミノ酸代謝はすべての生物に普遍的に存在し、多くの重要な生物反応に必須である。本研究では、寄生性原虫赤痢アメーバをモデルとして、感染における含硫アミノ酸代謝の役割を解析する。初年度は、原虫に特異的に存在している含硫アミノ酸代謝経路(特に硫黄同化的システイン生合成経路と含硫アミノ酸分解経路)が寄生の過程でどのように機能しているかを、主に遺伝子の転写調節、タンパク質発現の観点から明らかにしようとした。まず赤痢アメーバ9000の全遺伝子を網羅したアリメトリクスプラットフォ-ムのマイクロアレイを作成し、これを用いて、含硫アミノ酸代謝のトランスクリプトーム解析を行った。腸管感染から分離された原虫と無菌培養されている原虫とでトランスクリプトームの比較を行ったところ、セリン代謝経路の2酵素、システイン生合成経路の2酵素、硫酸活性化回路の1酵素の遺伝子、メチオニン分解酵素などに大きな遺伝子発現の変動があった。これらの酵素遺伝子発現はおおむね減少していた。しかし、メチオニンガンマリアーゼ1だけは腸管感染に伴い10倍以上発現が上昇していた。また、解糖経路の5酵素遺伝子にも発現低下が見られた。更に、含硫アミノ酸代謝に関与する酵素活性に影響を与える培養条件のスクリーニングを行い、高濃度のメチオニン並びにセリンにより含硫アミノ酸及びエネルギー代謝が調節を受けることが明らかにされた。次年度以降これらの条件をもとにトランスクリプト-ム解析を行う予定である。
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