計画研究
含硫アミノ酸代謝はすべての生物に普遍的に存在する。その代謝中間体、特にシステイン・メチオニン誘導体は多くの代謝経路及び生化学反応に必須である。本研究は、腸管寄生性原虫である赤痢アメーバの感染における含硫アミノ酸代謝の調節機構・生理機能を解明することを目的とする。他の生物と同様に、システインは赤痢アメーバにおいて必須な生理物質である。そこで、システイン枯渇による中心代謝の変化を、CE-ToFMSを用いたメタボローム解析により解明した。システインの枯渇により、これまで同定されなかった2つの代謝経路が発見された。一つはS-メチル-L-システインの合成経路であった。S-メチル-L-システインの合成は、赤痢アメーバに選択的に存在するメチオニン分解酵素によるメチオニンやホモシステインの分解代謝物であるメタンチオールと、セリンのアセチル化物であるO-アセチルセリンから合成されることが証明された。これにより、これまでシステインのデノボ合成に機能すると考えられてきた経路がS-メチル-L-システインの合成に機能する可能性が示された。今後、その生理機能の解明が必要である。また、システイン枯渇により誘導される2つ目の経路として、イソプロパノールアミンやそのリン酸化物、及びフォスファチジル付加物を合成するケネディー経路が同定された。本経路のシステイン枯渇応答における生理的役割が示唆された。以上本研究は計画通りの成果を収めた。
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