ポリオウイルスに関しては、ウイルスの感染成立に必要なポリオウイルス受容体とウイルスの血液脳関門透過に必要なトランスフェリン受容体が存在する。この二つの受容体とポリオウイルス粒子との結合部位を詳細に検討した。その結果、それぞれの受容体は、ポリオウイルス粒子表面の異なるペプチド部位に結合することが明らかとなった。また、カニクイザルに対しポリオウイルスを充填した腸溶剤カプセルを経口投与し、ウイルス増殖部位、炎症所見を調べた。これまでのところ、ウイルス抗原や有意な炎症所見は見られていない。 アイチウイルスの全ての非構造蛋白質を含んだ複雑な相互作用ネットワークの存在を明らかにした。2A-3CDの結合が特に強力であり、この結合が2AのN末端を効率良く切断するために重要であることを示した。 C型肝炎ウイルスに関しては、CDK阻害剤により、Rbのリン酸化が抑制され、Rb蛋白質量が上昇することにより、HCVの増殖が抑制されると考えられた。またこの作用は、IFNと協調して行われると考えられる。 ロタウイルスは、外層蛋白質VP4がトリプシンにより開裂されることで感染性を獲得する。トリプシン感受性が高いArg241で開裂が起こると考えられている。そこで、このアミノ酸をAlaに人工変異させた変異株を作製した。変異ウィルスは親株と増殖性に差は無く、Arg241は必須な開裂部位ではないことが明らかとなった。
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