計画研究
赤痢菌のIII型分泌装置(TTSS)より分泌されるエフェクターを3種類同定し、その一つは、染色体上で他の二つはプラスミド上の遺伝子産物であった。一方、赤痢菌の細胞侵入に関わるエフェクターとして、IpgB1およびそのホモローグであるIpgB2の機能解析を行った。その結果、IpgB1はRhoGに替わりELMO-Dock180-Rac1経路を活性化することを示した。今後、IpgB2の本菌の細胞侵入おける役割を解明する。赤痢菌の細胞間拡散ではこれまでE-カドヘリンが必要であることが報告された。そこで本研究ではE-カドヘリンとともに、タイトジュンクション、アドヘレスジャンクションに関わる細胞接着分子の役割を精査したが、いずれの欠損細胞でも菌の細胞間拡散が認められた。今後、菌の細胞間拡散に関わるあらたなメカニズムを調べる。細胞内で赤痢菌は炎症抑制に関わる一連のエフェクターを分泌する。本研究では、そのなかのIpaHファミリーに焦点を絞りその役割を調べた。その結果、染色体遺伝子上にコードされる7種のipaH遺伝子産物すべてがTTSSを通じて分泌され、それらは共同して炎症抑制に関与していることが示唆された。腸炎ビブリオのもつ2種類の3型分泌装置(T3SS1およびT3SS2)のエフェクター蛋白質群をそれぞれ5個および19個同定した。またそれぞれのT3SSの分泌装置構成蛋白質群、分泌の分子スイッチ、および発現制御蛋白質を同定し、これにより腸炎ビブリオのT3SSに関わる分子群のほぼ全容を明らかにすることができた。また、T3SSエフェクター計11種についてyeast two-hybrid法による標的蛋白質の網羅的な検索を行ったが、めぼしい候補蛋白質は得られなかった。さらに、腸炎ビブリオ菌株のマイクロアレイによる遺伝子レパートリの比較解析により、病原性腸炎ビブリオが出現した進化過程(pathogenicity islandの獲得)についての新たな知見を得た。
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