計画研究
小柳はHIV-1感染増殖抑制作用のある分子として、CD63分子を同定した。この分子は、ゴルジ体から遊離されたHIV-1コレセプター分子CXCR4を輸送する細胞内小胞が細胞質膜と融合する過程を阻害し、その結果、CD63は細胞表面上のCXCR4の発現を抑制することがわかった。さらに、CD63はHIV-1粒子にも効率的に取り込まれ、ウイルス膜と標的細胞膜との融合も阻害することを明らかにした。すなわち、CD63は膜融合過程を阻害するシャペロン分子として働くことが考えられる。また、ヒト造血細胞移植法により、CD4ならびにCD8陽性T細胞、B細胞、樹状細胞を持続的に維持するマウスの作製に成功し、このマウスはCXCR4ならびにCCR5をコレセプターとするいずれのHIV-1にも感受性であることを明らかにした。HIV-1感染マウスでは15週以上という長期間にわたり高ウイルス血症を維持することがわかり、HIV-1持続感染モデル動物として有用であることがわかった。俣野は自身が開発したDNAプライム・Gag発現センダイウイルスベクター法により免疫したサルにSIVmac239を感染させた動物のなかに、3年以上にわたりウイルス血症が検出されず発症しないコントローラーサル(3匹)に対する免疫学的解析を行った。その結果、いずれのサルにおいても、中和抗体の出現はなかったが、1匹のサルではGagに対するCD8陽性細胞障害性T細胞(CTL)が、残りの2匹ではGag以外の抗原に対するCTLが誘導されていた。そして、このCTLをCD8に対する抗体接種により消失させるとウイルス血症の再出現があり、CTLがウイルス抑制に働いていることがわかった。さらに、これらのコントローラーにはcentral memory CD4陽性T細胞が持続的に維持されていることがわかり、エイズ発症予防にCTLワクチンは有効であることが強く示唆された。
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