計画研究
本研究では、HIV増殖に関わる細胞性因子の作用機序の解明と生体における持続感染成立機序の解明のために、in vitroならびにin vivoのモデル実験系を用いた。まず、HIV補受容体であるCXCR4のゴルジ体から細胞質膜の移行は、4回膜貫通蛋白(テトラスパニン)のひとつであるCD63により抑制される事実を見出した。この結果は、細胞質膜への移行に新たな選別機序が存在することを示すものである。さらに、ほとんどのテトラスパニン分子は、ウイルスが遊離される際に細胞質膜からウイルスエンベロープに移行すること、そして、HIVに取り込まれたテトラスパニンは、次の細胞への侵入過程を抑制することを見出した。テトラスパニンがHIV感染を制御しうること示した。次に、in vivoのモデル実験系として、サルエイズモデルを用い、抗体ならびにCD8陽性細胞のウイルス複製抑制効果について解析を進めた。感染初期における中和抗体のHIV複製への影響を知る目的で、SIV感染成立後7日目にSIV特異的中和抗体受動免疫実験を行い、中和抗体接種群ではセットポイント期の血漿中ウイルス量が対照群と比較して有意に低くなることを明らかにした。この結果は、感染成立後の中和抗体のin vivoでのSIV複製抑制効果を初めて示すものであり、HIV感染初期における中和抗体誘導不全がHIV慢性持続感染成立に寄与していることを示唆するものである。一方、細胞傷害性Tリンパ球(CTL)を含むCD8陽性細胞のSIV複製抑制能を培養細胞レベルで測定する系を樹立した。この測定系は、SIV複製制御に結びつくCD8陽性細胞反応の同定に有用であると期待される。
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