計画研究
細胞が保有するウイルス感染制御分子であるテザリンとAPOBEC3、そして、HIVがコードするこれらの活性をそれぞれ抑制するVpuならびにVif蛋白の作用メカニズムの解明とHIVに類似のサルSIVを使ってウイルス制御免疫要因の解明をおこなった。まず、HIV遊離抑制分子であるテザリンとそれに対するVpuの相互作用定量系を確立し、種々の変異体の結合能を検討し機能ドメインを明らかにした。相互作用に必須のドメインは、TM領域内のヘリックス片側面の3つのアミノ酸に集積すること、一方、Vpuに耐性のサル種テザリンには同じアミノ酸が保存されているが、上流のアミノ酸の欠失のための3次構造が異なることがわかった。これらの結果をもとに分子動力学計算解析を行い、予想されるテザリンのTM領域の分子構造を明らかにした。また、ヒト血液幹細胞移植によるヒト化マウスをつかって、APOBEC3がHIV複製に対してVif存在下でもG→A変異導入により抑制していることを証明した。次に、これまでに樹立したSIV複製制御維持群(ワクチンによりSIV複製制御に至るMHC-1ハプロタイプA共有サル群)におけるCTL反応を解析した。このワクチン接種サル群では、Gag206-216およびGag241-249エピトープ特異的CTLが野生型SIV複製制御に中心的役割を担っており、上記CTLからの逃避変異を有する変異SIVチャレンジを制御することができない。しかし、ワクチン接種後の野生型SIVチャレンジを制御できたサルの慢性期に変異SIVをスーパーチャレンジしたところ感染が防御された。これらのサルではより多様なSIV抗原を認識しうる広汎なCTL反応が誘導され、培養細胞系で変異SIV複製抑制能力を有するCTLが誘導されることが判明した。この広汎化機序の解明により、広汎なCTL誘導法の開発に結びつくことが期待される。
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