計画研究
本特定研究B03項目の計画研究では、細胞内寄生性を示しマクロファージ内での殺菌を免れて増殖が可能な、リステリア(Listeria monocytogenes)と抗酸菌(Mycobacterium tuberculosisおよびM. bovis BCG)につき、とくにマクロファージへの感染が宿主免疫応答を誘導する分子機構について解析を行った。平成21年度に得られた主要な研究成果は以下のとおりである。「リステリア関係」(1)食胞からのLLO依存的なリステリアの脱出がcaspase-1の活性化のみならず、カルパインの活性化も誘導する結果、IL-18, IL-1β、IL-1αの成熟分泌が起こる。(2)カルパインの活性化にはLLO依存的な感染後期のカルシウム流入が重要である。(3)caspase-1活性化には、ASC依存的なインフラマソーム形成が必須であり、細胞質へ脱出したリステリアによるインフラマソーム形成に関与する認識分子として、AIM2が主に関与する新たな知見が得られた。(4)マクロファージによるリステリアの貪食には、菌体成分を認識するTLR2を介したPI3KおよびRAc1の活性化が重要な役割を果たすことが明らかとなった。「抗酸菌関係」(1)結核菌感染マクロファージにおけるcaspase-1の活性化は病原因子遺伝子と考えられるRD領域依存的であり、とくにKイオンの流入が関与することが判明した。(2)BCG感染マウスでは、一旦獲得免疫のエフェクターT細胞が誘導されるが、PD-1/PD-L1の関与によりその持続が抑制されることによって、菌の持続感染が可能となっていることが示された。
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