計画研究
ウイルスは宿主自然免疫系により認識され、抗ウイルス自然免疫応答が誘導される。我々はウイルス感染のセンサー、RIG-Iを発見した。RIG-IはRNAヘリカーゼの構造を持ち、MDA-5、LGP2と共にファミリーを形成している。RIG-IとMDA5は異なるRNAパターンを認識することを明らかにした。特に両者は二重鎖RNA分子を認識するが、RIG-IとMDA5は短い分子(50-1000bp)、長い分子(1000bp以上)をそれぞれ認識している。昨年度までに、非自己RNA認識の特異性を決定しているRIG-Iのカルボキシルドメイン(CTD)の溶液構造を明らかにした。引き続きMDA5、LGP2のCTDの溶液構造の決定を行なっている。これまでにこれらのRNA認識ドメインの組換え体蛋白質の生産、精製に成功しており、結合活性等の生化学的解析を行なった。RIG-IおよびLGP2に対する特異抗体を得ることが出来た。これらの抗体は細胞内での局在の解析に特に有用であることが明らかとなった。我々の基礎的な検討によると、RIG-Iはウイルス感染によってその局在が劇的に変化し、ウイルス由来の二重鎖RNAおよびウイルス蛋白質と共局在することがわかっている。今後、複製中のウイルス核酸がどのような機構によって局在し、RIG-Iによって感知されるのか詳細に検討を行う予定である。FKBP/RIG-I融合蛋白質を発現するトランジェニックマウスの系統を確立した。本年度はこのマウスを用いた機能解析を行う計画である。ヒトのRIG-IおよびMDA5の遺伝子多型がデータベースに報告されている。これらのうちアミノ酸置換を伴うものについて、ノックアウトマウス細胞を用いてその生理活性の解析を行なった。多型の中にはウイルスセンサーとしての機能を失うものが含まれていた。
すべて 2008
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Molecular Cell 29
ページ: 428-440
ページ: 169-179
J Exp Med 7
ページ: 1523-1527