研究概要 |
グラム陽性菌であるA群レンサ球菌による侵襲性の感染症としては,敗血症,壊死性筋膜炎等の侵襲性病態が知られている.これまでの国内外の研究グループによる侵襲性A群レンサ球菌感染症の発症機序の解析により,A群レンサ球菌菌体がヒトの組織内へ侵入するメカニズムは解明されつつある.しかしながら,体内に侵入したA群レンサ球菌が多段階的に働く免疫機構をそれぞれ回避する機序については,未だ詳細が明らかにされていない.本研究では,宿主免疫からの回避に働くA群レンサ球菌分子群を同定し,その解析結果に基づいた侵襲性A群レンサ球菌感染症の予防および治療法を検索する.特に,侵襲性A群レンサ球菌感染症では,その感染巣に好中球の浸潤が極度に低いことが報告されているため,ヒトの初期自然免疫系に抗うA群レンサ球菌病原因子を中心に検索を進める.また,A群レンサ球菌と類縁の菌種である肺炎レンサ球菌についても,同様の手技で研究を行う予定である.
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