計画研究
Leishmania major(L.major)に感染した宿主は、Th1宿主応答を発動することで原虫を排除する。一方、Strongyloides venezuelensis(Sv)の様な蠕虫感染に対しては、宿主はTh2応答を発動することで排除する。このように、病原体の種類によって、全く異なる宿主応答を展開する。昨年度は新規サイトカインであるIL-27を感染宿主に投与して、これらの病原体に対する排除効果を検討した。BALB/cマウスの足踵にL.majorを感染させると、Th2優位の宿主応答が起こり、感染部位の進行性の腫脹が起こり、やがて肝臓・脾臓まで感染が拡大しマウスは悪液質で死亡する。我々はL.majorを感染させたBALB/cマウスにIL-12+IL-18投与することで、Th2応答を抑制するとともにTh1応答を誘導して、病原体を排除できることを報告している。本課題において我々は、IL-27をL.major感染BALB/cに一週間投与することによって、Th2応答を抑制するばかりか、Th1応答を誘導することを見いだした。更に、IL-27を過剰に発現するTransgenic mouseを作製し、このマウスにL.majorを感染させるとTh2応答が起こらず専らTh1応答が起こるため、L.major感染に対して抵抗性を発揮できることを明らかにした。このように、IL-27はそれ単独でTh1応答を誘導し、Th2応答を抑制する。一方、IL-27を過剰に発現させたマウスにSvを感染させても、Th2応答が起こらないため、Svの排虫が著明に抑制されることを明らかにした。今回の実験から、IL-27はそれ単独でTh1応答を誘導し、同時にTh2応答を抑制することから、細胞内寄生病原体感染症あるいはアレルギー疾患の治療に有効な生物製剤となる可能性が示唆された。
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