計画研究
Th2細胞の誘導機序の解明:(1)虫体成分は、抗原であるとともに、adjuvantとして作用すると考えられる。そこで、Th2を誘導する代表的なadjuvantであるAlum(水酸化アルミニウム)のDCに対する影響を調べた。Alumで刺激されたDCの細胞表面マーカーを調べたが特に変化はなかった。一方、サイトカインの産生は、Alumの作用でcaspase-1が活性化され、その結果、前駆型のIL-1βとIL-18が活性型に変換され、分泌されたが、IL-12の産生は誘導されなかった。さらに、OVAとAlumでパルスされたDCを正常マウスの足底に投与したところ、同側の膝窩リンパ節にTh2細胞が誘導されていた。(2)腸杯細胞の誘導と腸管寄生線虫Nippostrongylus brasiliensis (Nb)排虫:正常マウスにIL-33を腹腔内投与すると、腸管のIL-13mRNA発現が上昇し、杯細胞は増加・肥大化して大量のムチンを産生した。この現象はST2とMyD88を介して産生されたIL-13が杯細胞誘導に必須であった。次に、IL-33投与でムチン産生が亢進したマウスにNb成虫を外科的に十二指腸に移入し、小腸粘膜に定着しているNb数を測定した。その結果、IL-33投与マウスでは著しくNbの数が減少していた。この排虫はIL-13KOではみられないことから、この排虫はIL-13依存性であることが明らかとなった。これまでNbの排虫はT細胞依存性のメカニズムだけが注目されてきたが、今回のIL-33の杯細胞誘導作用から、生体にはT細胞非依存性のNb排除機構の存在が考えられる。
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