計画研究
最近、IL-33がクローニングされ、orphan recepterであるST2のリガンドであることが明らかとなった。C57BL/6マウスにIL-33を単独投与すると著明な杯細胞の活性化が誘導された。この様な現象はRAG2KOマウスでも認められた。即ち、T/B細胞を欠損したマウスにIL-33を投与した場合でも同様に杯細胞からのムチン産生が誘導された。一方、IL-33をIL-13KOマウスに投与したところ、このようなムチン産生は全く誘導されなかった。この実験結果から、T/B細胞の不在下であっても、T、B細胞以外の細胞がIL-33の標的となってIL-33の刺激を受け、IL-13を産生することが強く示唆された。次にIL-33の受容体であるST2KOマウス、さらにIL-33のシグナル伝達に関わるMyD88を欠損したマウスにIL-33を投与したところ、予想どおりどちらのマウスにおいても、杯細胞が誘導されなかった。これらの実験から、生体内においてもIL-33のシグナルはST2/MyD88依存的に伝達され、IL-13の産生を介して杯細胞からのムチン産生を誘導されることが確実となった。そこで次に、IL-33を投与したマウスに経胃的(外科的)にNb成虫を投与したところ、24時間以内に完全な排虫が認められ、移入したNb成虫は排泄されていた。最後にNb感染に伴い内因性のIL-33が誘導されるか否かを検討したところ、腸絨毛の陰窩の周囲にある細胞でIL-33産生が認められた。即ち、腸管寄生線虫が感染すると、Th2細胞が誘導されるとともに、同時に腸組織でIL-33の産生が誘導された結果、Th2細胞由来のIL-13と、IL-33の刺激を受けた細胞由来のIL-13の作用とで、腸上皮細胞に杯細胞が誘導されることで、強力なNbの排除効果が得られるものと考えられた。今後は、IL-33の標的細胞を同定していきたいと考えている。
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