計画研究
蠕虫の外皮成分であるキチンを正常マウスの腹腔内に投与すると、腹腔内に著明な好酸球の集積を認めた。一方,IL-33受容体(ST2)を欠損したマウスに同様の処置を施すと、好酸球の集積は正常マウスのそれと比較して、約1/3に低下していた。このことからIL-33の関与が示唆された。実際キチンを腹腔内に投与するとIL-33の産生が誘導された。今後はIL-33がどの様なメカニズムで好酸球の集積を誘導するか検討する。次に蠕虫感染時に認めるTh2細胞の誘導機構を解明する為に好塩基球の約割りを検討した。はじめに腸管寄生虫が感染したマウスの脾臓由来のIL-4産生能を検討したところ、非感染マウス脾臓由来の好塩基球に比べて著明なIL-4産生能を示した。しかしMHCクラスIIの発現レベルを比較してみても、両者には違いは認めなかった。更にin vitroにおけるTh2誘導能を比較したところ、どちらの好塩基も抗原ペプチドをMHC class II に結合し、同程度にCD80/86を発現し、更にIL-4の産生レベルは感染マウス脾臓由来の好塩基球で高いが、Th2の誘導に関しては両者に違いは認めなかった。最後にIgEの防御機能を検討し、DNA-OVA/抗DNP-IgE抗体複合体を投与すると、肥満細胞と好塩基を活性化するため、蠕虫Strongyloides brasiliensisの排虫が促進された。今後は、好塩基球と肥満細胞のどちらが重要であるかを、決定する予定である。
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