計画研究
蠕虫を感染させると、Th2/IgE応答が誘導されるが、このTh2/IgE誘導に蠕虫成分のキチンがTh2アジュバントとして作用すると考え研究してきた。これまでの報告通り、卵白アルブミン(OVA)と水酸化アルミニウム(Alum)を混和したものを投与すると、OVA特異的Th2細胞とOVA特異的IgEが誘導できることを確認した。次に、AlumのかわりにキチンとOVAを混和したものを投与したところ、やはり同程度のOVA特異的Th2細胞とOVA特異的IgE産生を誘導出来ることを明らかにした。この実験結果からキチンがTh2アジュバントであることが明らかとなった。次に、Th2アジュバントの作用機序を解明するため、Alumあるいはキチンを正常マウスの腹腔内に投与したところ、投与後迅速に腹腔内のIL-33の濃度が上昇し、引き続きIL-5とIL-13の濃度が上昇することが明らかとなった。ところがIL-33欠損マウス、あるいはIL-33受容体欠損マウスにキチンを腹腔内投与しても、IL-5とIL-13は上昇しなかった。この結果から、キチンがIL-33の産生を介してIL-5とIL-13の産生を誘導することが強く示唆された。そこで、IL-33を正常マウスの腹腔内に投与したところ、短時間でIL-5とIL-13の濃度が上昇することが明らかとなった。以上の結果から、キチンがIL-33の産生を誘導し、次に、IL-33が何らかの細胞を刺激してIL-5とIL-13の産生を誘導することが明らかとなった。最後に、キチンの刺激でIL-33を産生する細胞の正体を調べたところ、腹膜細胞がIL-33を産生することを明らかにした。また、IL-33の作用でIL-5とIL-13を産生する「未知の細胞」の正体を種々検討した結果、この未知の細胞が、「自然型2型ヘルパー細胞」であることが明らかとなった。
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