計画研究
べん毛モーターの回転力のエネルギー源は電気化学的ポテンシャル差によるイオンの流入である。大腸菌ではMotA/MotBのH^+チャネル機能、ビブリオ菌ではPomA/PomBのNa^+チャネル機能に伴う電気化学ポテンシャル差により回転力が生み出される。しかしながら、どのようにして電気化学的ポテンシャル差がべん毛の機械的回転力に変換されているのかは不明のままである。本研究課題では、べん毛超分子複合体での固定子-回転子間相互作用の詳細を明らかにすることを目標にしている。本年度はモーター膜タンパク質のイオン透過経路について新しい知見を得ることができた。べん毛モーター固定子中を透過するイオンは、固定子複合体中の膜貫通部位に唯一存在するカルボン酸、Asp24-PomB(Asp32-MotB)がイオン結合部位と推定されている。全反射型赤外分光法(ATR-FTIR)を用い、Asp残基とイオンの相互作用を確かめることに成功した。PomA/PomBをビブリオ菌で発現させ、精製を行い、大腸菌Polar lipidに再構成した。この試料を用い塩存在下・非存在下での測定を行った。その結果、Na^+存在下で、COOH型からCOO^-型へ変化するカルボン酸を見出した。D24N変異体での信号消失から、Asp24とNa^+の結合による変化であることを確かめるとともに、2つの信号が残ることから、Asp24以外のNa^+結合部位を明らかにすることができた。さらに、Asp24に至る透過経路について検討した。Asp24(Asp32-MotB)のヘリックス2ターン分、イオン取り込み側に位置し、H^+駆動型でAla、Na^+駆動型でCysに保存されている残基に着目し、側鎖の大きさを変える種々の変異体を作成した。その結果、MotA-M206がMotB-A39と向かい合いイオン透過経路を形成していることが推定された。
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