計画研究
べん毛モーターの回転力のエネルギー源は電気化学的ポテンシャル差によるイオンの流入である。大腸菌ではMotA/MotBのH^+チャネル機能、ビブリオ菌ではPomA/PomBのNa^+チャネル機能に伴う電気化学ポテンシャル差により回転力が生み出される。しかしながら、どのようにして電気化学的ポテンシャル差がべん毛の機械的回転力に変換されているのかは不明のままである。本研究課題では、べん毛超分子複合体での固定子-回転子間相互作用の詳細を明らかにすることを目標にしている。昨年度は、保存されたアスパラギン酸残基PomB-D24がNa^+の結合残基であることを全反射赤外分光法(ArR-FTIR)によって明らかにした。本年度は、PomA/B複合体のNa^+の透過経路と結合残基について検討するために、イオン透過経路を形成すると考えられるPomBの膜貫通領域の残基に変異を導入し、PomB-L28A/C31A変異体の運動能回復変異体の変異が、PomAの4番目の膜貫通領域のPomA-L183Fに存在することを示した。Po血の4番目の膜貫通領域がMotBの膜貫通領域と向かい合い、イオン透過経路を形成していることを示唆している。さらに、共役イオンの結合残基であり必須と言われているPomB-D24の電荷をアスパラギンに置換することで無くしても、べん毛を回転させることができる変異であるPomA-N194Dを4番目の膜貫通領域で見つけた。このPomA-N194を様々なアミノ酸で置換し、運動能を解析すると、NからDに置換し電荷を持たせ時、特に運動能が低下した。この結果は、PomB-D24とPomA-N194Dの間のアスパラギン酸残基の電気的な反発が起きているか、あるいはイオン結合ポケットのNa^+に対する親和性が強くなりすぎていると考えられた。
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