計画研究
本年度は、主として下記に挙げる研究成果があがった結晶構造と1分子観察で発見された反応中間体の関係の解明 : F1-ATPaseの反応メカニズム解明のために、結晶構造解析と1分子計測が精力的に行われているが、実はこれまで解かれた結晶構造が1分子観察で発見されたどの状態にあるのか明らかではない。そのため、反応メカニズムを考える上であいまいさが残るうえに、信頼性の高い分子シミュレーションが行えていなかったという問題がある。そこで、我々は、結晶構造中のF1-ATPaseの回転子と固定子の接触点にCys残基を導入し、この変異型F1-ATPaseの回転観察中にジスルフィド結合を形成さることで、強制的に結晶構造の位置で回転を停止させた。その結果、この停止角度がATP加水分解前の状態であることが明らかとなった(PNAS2008)。Supported membrane中に再構成したFoF1の回転計測を行った結果、プロトン駆動の回転分子モーターであるFoに由来すると思われる36度置きのステップが検出された。これは、プロトン輸送がATP加水分解と10:3の化学量比で共役していることを示す重要な発見である。
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