研究概要 |
・Naべん毛モーター固定子蛋白質MotYを結晶化し(Shinohara, A., Acta Crystallographica)、2.85Å分解能での構造解析に成功した。固定子蛋白質で初めての構造である。MotYは2つのドメインから成り、N末ドメインがMotXおよびLPリングとの結合を担うことが明らかになった。また、C末ドメインは、既知のペプチドグリカン結合蛋白質と非常に似た構造をしており、固定子ユニットを細胞壁に強固に固定する役割を果たしていると考えらる(投稿準備中)。 ・FliO, P, Qは、1回ないし2回の膜貫通領域を含むべん毛輸送装置構成蛋白質である。発現させると毒性を持つため、大腸菌等の菌体内での発現ができなかったが、無細胞系を用いてGST融合蛋白質としてFliO, P, Qを可溶性画分として発現・精製することに成功した。 ・べん毛輸送装置の駆動蛋白質であるFliIを結晶化し(Minamino, T., Acta Crystallographica)、2.4Å分解能での結晶構造解析に成功した。EliIの構造がF1ATPaseのα/βサブユニットと著しい類似性を持つことから、輸送装置F_1ATPaseと同様の作動機構を含むことが示唆された(Imada, K., PNAS)。また、FliIの調節蛋白質であるFliHとFliIとの複合体の大量発現・精製も行い、結晶化用試料の作成法を確立することができた。 ・凝集し易く取扱の難しかったべん毛輸送装置構成蛋白質FliJの精製および結晶化に成功した。結晶は、大型放射光施設SPring-8 BL41XUでの予備実験で2.7Å分解能の回折を示した。また、構造解析に向けてSe-Met置換体の発現・精製法を確立した。
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