研究領域 | 膜超分子モーターの革新的ナノサイエンス |
研究課題/領域番号 |
18074008
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研究機関 | 学習院大学 |
研究代表者 |
西坂 崇之 学習院大学, 理学部, 准教授 (40359112)
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研究分担者 |
政池 知子 学習院大学, 理学部, 助教 (60406882)
矢島 潤一郎 学習院大学, 理学部, 研究員 (00453499)
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キーワード | 分子モーター / 全反射型顕微鏡 / 光ピンセット / 3次元検出 / F1-ATPase / タンパク質構造 / 1分子ナノ計測 / バイオイメージング |
研究概要 |
本研究課題の目標は、独自の光学顕微鏡技術を用い、膜超分子モーター(主にF_0F_1-ATPase)の作動原理について、1分子のレベルで解明することである。本研究期間中に、研究代表者の光学系の技術を発展させ、得られた新しい知見を学会で発表した。 (1)F_1ATPaseの回転における回転半径の変化の定量化。F_1ATPaseは回転分子モーターであり、ATPを分解するエネルギーを用いて、回転軸であるγサブュニットを一方向に回転させる。分解の中間状態がモニターできる変異体を用い、軸の倒れが〜1.5°生じることを見いだした。(2)リニア分子モーターによって滑り運動する微小管の回転。この生物試料は膜超分子モーターには属さないものの、開発している装置のスペックを正確に評価する上で重要な基礎研究である。 (3)F_1ATPaseのβサブユニット内の構造変化の可視化。これは本課題の研究代表者によるH15-18年度のさきがけ研究を発展させた内容であり、本課題においては、研究分担者の政池知子氏により新しい切り口からの実験が進められている。独自の全反射型顕微鏡を用いて、ATP分解の遅い変異体と野生型を組み合わせたハイブリッド蛋白を観察し、回転を生み出すための構造変化を異なる2つの化学状態において決定することができた。また3つのβサブユニットがどのように協同的に動いているかも明らかになり、これまでに報告されている結晶構造と比較しながら回転の作動原理を議論することが可能になった。 以上の研究は、タンパク質の部分的な領域が機能する瞬間のダイナミクスについて、1分子のレベルで調べるという新しい学問領域に発展する可能性がある。「1分子構造生物学」という分野の開拓を目指し、研究を発展させていきたい。
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