研究領域 | 植物の生殖におけるゲノム障壁成果分析 |
研究課題/領域番号 |
18075001
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
久保 友彦 北海道大学, 大学院・農学研究院, 准教授 (40261333)
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研究分担者 |
三上 哲夫 北海道大学, 大学院・農学研究院, 教授 (50133715)
小野寺 康之 北海道大学, 大学院・農学研究院, 助教 (80374619)
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キーワード | 遺伝解析 / 生化学解析 / 花粉形成 / 生殖 / 植物 / 核・細胞質相互作用 / 細胞質雄性不稔性 |
研究概要 |
細胞質雄性不稔性は雄性配偶子の特異的退化現象で、遺伝学的には雄性不稔原因遺伝子と稔性回復遺伝子の間に相互作用があるものと考えられる。申請者はテンサイを材料に用い、雄性不稔原因遺伝子と稔性回復遺伝子の機能や相互作用を中心に据え、ミトコンドリアや表現型に与える影響を明らかにする。さらに本年度より、有害な突然変異が配偶体世代を通じて遺伝するメカニズムを明らかにすることを課題に加えた。成果は以下の通りである。 1.CMS株由来培養細胞ミトコンドリアでも、CMS株固有ミトコンドリアポリペプチドpreSATP6が強固な複合体を形成することを見いだした。この培養細胞に稔性回復遺伝子を導入して異所的に発現させると複合体解体が認められたので、稔性回復遺伝子が複合体解体に十分であることが示された。 2.CMS株と正常株における体細胞の性状比較を行った。その結果、in gelアッセイではミトコンドリア呼吸鎖複合体の活性に差異を認めなかったが、カルスからの再分化に要する時間に有意な差があることを明らかにした。 3.シロイヌナズナの3種のRNAポリメラーゼ(polI〜III)の触媒サブユニット遺伝子のT-DNA挿入変異は母性遺伝しないが、一定の頻度で花粉を介して次世代に伝達される現象を見出した。次いで、形態観察によって当該機能喪失は胚珠の発達停止を引き起すことが判明した。一方、機能型RNAポリメラーゼ遺伝子を喪失しても、花粉発達および花粉管の初期伸長過程においてRNAポリメラーゼの活性が維持されることを組織化学的解析によって明らかにした。
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